東京高等裁判所 昭和26年(う)117号 判決
被告人 ○木○
弁護人控訴趣意第二点について。
被告人が昭和二十五年十二月十九日の原判決当時満十八歳以上であつたため成人として定期刑の言渡を受けたが、現在なお二十歳に満たない者であることは本件記録によつて明かである。そして、昭和二十六年一月一日以降は、少年法第六十八条第一項、第二条によつて二十歳未満の者を同法に所謂「少年」と云うことになり、本件のように刑の執行を猶予するに足りない情状の窃盗犯の場合少年に対しては同法第五十二条第一、二項によつて、長期十年の範囲内で所謂不定期刑を宣告しなければならなくなつたことは所論のとおりであるが、元来新刑事訴訟法に於ける控訴審は原判決当時の事情に基いて原判決に法令の違反があるか否かを決定すべきものであるから、原判決当時被告人が十八歳以上であつた以上、原審が被告人につき少年法を適用せず成人として定期刑を言渡したのは相当であつて被告人が現在なお満二十歳に達しないからとて原判決に少年法の適用を誤つた法令違反があると為し難いのは勿論であり、更に又、少年法は一定の場合成人に対するより軽い刑を科すべき旨定めては居る(一般的に年少者に対しては成人に対するより比較的軽い刑を宣告すべきことは当然であつて之は寧ろ本質的な問題であり又少年法所定の不定期刑を通常の手続による定期刑と何れが軽く利益であるかの各具体的な場合所謂短期説、中間位説、長期説の何れによるかにより結論は必ずしも同じくない)が右は所謂宣告刑についてであつて所謂法定刑については変更を生じないと解すべきであるから、前記少年法の施行により刑事訴訟法第三百八十三条第二号に所謂「刑の変更」があつたとは謂い得ない。すると、被告人が現在二十歳未満であるから原判決を破棄して少年法所定の不定期刑を言渡すべきであるとの論旨は何れの点からも理由がなく、採用に値しない。